「人々はこれから私を、”ガス人間”と呼ぶでしょう」Netflix『ガス人間』

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以前から楽しみにしていたNetflixオリジナル作品『ガス人間』が、7月に配信開始となりました。1960年に『ガス人間第1号』として公開された映画を題材としており、監督は韓国映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』で知られるヨン・サンホ監督。韓国作品好きの私にとっては、これ以上ない魅力の一本です。旧作は未視聴ですが、この監督の作品なら面白いに違いないという確信のもと、配信後すぐに観てみました。想像した物語とはかけ離れていて、続きが気になるので一気見必須です。

今回は『ガス人間』の感想をお伝えします。

予告編

登場人物:キャスト

岡本賢治:小栗旬
甲野京子:蒼井優
藤川華歩:広瀬すず
藤川富士太:林遣都
ガス人間:UTA
※かなり多くの登場人物が出てきますが、先に知らないほうがいいこともあるため、主要人物のみ記載しています。

あらすじ・感想

このドラマは、予想を裏切られ続け、最後には人間の善悪を描いた人間ドラマとして心に残る作品でした。
私の勝手なイメージは、現実離れした「ガス人間」が人々を襲ってくる怪物系の物語でしたが、実際は全く違っていました。序盤は確かにその要素もありますが、物語は予想の遥か斜め上を行きます。誰かあの複雑な物語を予測できた人はいるのでしょうか。観終わったとき、人間の優しさも悪も描かれた人間ドラマだったのだと腑に落ちました。

実際、このドラマはいつ始まり、どこへ向かうのかが最後まで読めない構成でした。最初の数分で「ガス人間」(UTAさん)が登場し、衝撃的なスタートを切ります。生放送中の番組に出演していた大学教授が破裂死する事件が発生し、放送局記者甲野京子蒼井優さん)が居合わせます。彼女の元恋人である刑事岡本賢治小栗旬さん)が、この事件を担当することになります。第1~3話は主に京子と賢治がそれぞれの立場でガス人間を追う姿が描かれます。ところが第4話になると、林遣都さん演じる富士太広瀬すずさん演じる華歩という動画配信者の兄弟が軸となり、ホストやアイドルが登場して「一体、何のドラマだったっけ?」と笑ってしまうほど雰囲気がガラッと変わります。ここから物語が一気に動き出し、さまざまなことが明らかになっていくので、驚きの連続です。ガス人間と無関係に見えた兄弟たちが巻き込まれていく意外性も面白く、結末がまったく予想できません。私個人としては、この兄弟が好きなキャラクターでした。林遣都さんと広瀬すずさんが本当の兄弟に見えてしまうほどお二人の演技がすばらしいです。

見どころはガス人間という存在そのものはもちろん、その周囲に現れる人物たち一人ひとりに物語があり、印象に残るキャラクターばかりが登場するところにも魅力があります。やくざ系の方々は見た目だけでも強烈で、「まさかあれが竹野内豊さんとは」と驚いた方も多いのではないでしょうか。竹野内さんの若い頃を野村周平さん、ガス人間をたどるうえで重要なホワイトセンター所長・小畑を演じる酒向芳さんの若い頃を中島歩さんが演じており、同一人物かと思うほど似ていて驚きました。さらに脇役だと思っていた刑事・吉田こばやし元樹さん)はかなりインパクトが強く、SNS上でも話題になっていました。あるシーンのあの奇妙な感じが面白くて、私は笑ってしまいました。
また、映像も非常に迫力があり、ガス人間が襲ってくる映像はハラハラと緊張感が伝わってきて、思わず「早く逃げて~」と言ってしまいそうなほどです(笑)。

結末には悲しみと切なさが残りました。最後のシーンは、続きがあるとも取れる、見る側に考えさせる終わり方でした。小栗旬さんと蒼井優さんが主役ではありますが、ほかの多くの人物の視点を交えながら真相へと近づいていく構成です。

このドラマを観終わってから、サザンオールスターズの名曲『いとしのエリー』を何度も聴いているという方も多いのではないでしょうか。私もその一人で、いまだに浸っています。観終わると、思っていた怪物系ではなく人間の悪の部分が多く描かれたドラマであると同時に、過去を振り返り前に進もうとする姿や、誰かのために犠牲になろうとする姿など、さまざまな優しさが見える物語でした。予想とは違ったからこそ、心に強く残る作品だったと思います。全8話、各話約60分です。

※本ページは2026年8月時点の情報です。最新の配信状況は各公式サイトにてご確認ください。

終わりに

私のように怪物映画だと予測していた人は多いかもしれません。しかし、実際は人間の善悪を描いた人間ドラマのように思えました。物語はきちんと終わりを迎えますが、観終わった後にはしばらく余韻が残る作品でした。

また、俳優陣の演技もすばらしく、どんどん引き込まれました。蒼井優さんや広瀬すずさんは長年活躍している俳優さんですが、この作品を観て改めて他の作品も観たいと思わせる、圧倒的な存在感と演技でした。出演者のほとんどが何かしらの印象を残しており、すべてのキャラクターに注目してもらいたいです。