以前から楽しみにしていたNetflixオリジナル作品が、4月に相次いで配信開始となりました。『九条の大罪』(4月2日配信開始)と『地獄に堕ちるわよ』(4月27日配信開始)の2作品で、いずれも2日ほどで一気見しました。
当初は先に配信された『九条の大罪』が首位を独走していましたが、現在は『地獄に堕ちるわよ』が首位を継続中です。『地獄に堕ちるわよ』は実話に基づく作品で、すべてがそうとは限らないものの、衝撃的な内容でありながら細木数子さんの人生に強く引き込まれました。一方『九条の大罪』はフィクションながら、現代社会でも起こり得る問題が随所に散りばめられ、こちらも続きが気になって止まりませんでした。
今回は、上記2作品についてご紹介します。
九条の大罪
『九条の大罪』は、悪人ばかりの弁護をする弁護士の物語ですが、観終わったあと「人の弱さや優しさ」まで深く考えさせられるドラマでした。何か悪くて何が悪くないのか・・・
九条間人(柳楽優弥さん)は世間からは非難されながらも、「依頼人を守るのが弁護士の仕事ですから」という信念を持ち、正しさの形は一つではないことが浮かび上がります。物語はそれぞれの事件に関わるさまざまな人物の視点で描かれているため、ただの勧善懲悪ではなく、感情移入しながら見られる構成になっています。
九条のもとで働くことになった烏丸(松村北斗さん)は、最初は九条の行動に疑問を抱きますが、複数の事件を通じてどんな弁護士なのかを自分の目で確かめていきます。私は九条は悪人の弁護ばかりをする弁護士と聞いて、最初はガラの悪い弁護士なのかと勝手に想像していました。見た目はそうではなくとも、「人としてどうかしてるよな」といった発言も見られました。しかし実際は、話し方は落ち着いていて丁寧な感じで、見方が途中から変わっていきました。
ひき逃げ・飲酒運転、父親の介護を続けてきた女性、AV業界を追われ風俗へ従事し、精神的に追い詰められる女性、10年前に娘を殺され真相を追い続ける刑事……。
個人的に特に印象的だったのは、女性たちの回です。渡辺真起子さん演じる家守や、石川瑠華さん演じる雫に対して九条がかける言葉、そして寄り添う姿がとても印象に残りました。家族や介護は現実でも起こりうるテーマなので、遠い話に感じず、自然に引き込まれました。一方で、AV業界の回については現実味がないとはいえ、周りの人々に追い込まれていく雫の姿が痛々しかったです。むしろ現実社会でもあり得ることだと感じてゾッとしました。
キャスト面でも圧倒されました。壬生役に町田啓太さん、京極役にムロツヨシさん、この二人が半グレややくざとして登場するのは、今まで見たことがない感じで新鮮でしたし、とても似合っていました。さらに、菅原役の後藤剛典さんは“本物”にしか見えない(笑)レベルだと思います。吉村界人さんも出演していますが、この方が出ていると、絶対に何か起きると感じる安定感がありました……。
全10話を一気に観たくなるほど引き込まれ、最後は「これで終わり!?」となる、続きが気になる展開です。おそらく続編があるのだろうとも感じました。かなり精神的にきついシーンもありますが、それだけではなく、人間の「悪さ・弱さ・優しさ」が全部見えるドラマだと感じます。『闇金ウシジマくん』の作者でもある真鍋昌平先生の漫画の実写化作品で、全10話、各話40〜60分です。
地獄に堕ちるわよ
このドラマは、日本で一番有名だった占い師・細木数子(戸田恵梨香さん)の波乱万丈な人生を描いた、目が離せない傑作でした。事実に基づいたストーリーは、知っているようで知らなかった彼女の実像に迫り、大きな衝撃と深い余韻を残します。
まず何より、細木数子という人物の人生そのものが壮絶です。極貧の幼少期から20代にして銀座の女王に上り詰め、数々の男たちとの出会いと別れを繰り返す。「あたしの人生はおもしろいわよ」という彼女自身の言葉が誇張ではないと痛感します。特に、戦争がもたらした「飢え」が彼女の原点であり、高校中退ながら努力して這い上がる姿には、同じ人間として自分の人生が薄っぺらく感じられるほどでした。
また、ドラマの展開も巧みです。作家・魚澄美乃里(伊藤沙莉さん)が細木にインタビューしながら過去を振り返る構成で、昭和から平成へと時代が移り変わるたびに、癖のある新しいキャラクターが登場します。1964年を「いい年だった」と語るシーンは特に印象的で、すべての重要な場面に男が関わっている点が物語に一層の深みを与えていました。関わった男たちはどれも癖が強く、中でも第3話の「親子丼」の回は最も衝撃的で(笑)、SNSでも話題になっていました。ぜひその目で観て、衝撃を味わってほしいです。
終盤では、細木視点ではない語りが入ることで「一体何が本当なのか」と疑問が湧く仕掛けもあり、単なる伝記ドラマに留まらない奥行きを感じます。
キャストの演技にも注目です。なんといっても細木数子を演じた戸田恵梨香さんは、表情の一つひとつに説得力があり、キャスティングを知った時は驚きましたが、予想以上に適役でした。また、生田斗真さん演じるやくざの堀田、三浦透子さん演じる国民的歌手・島倉千代子も圧倒的な存在感で、物語に彩りを添えています。他にも癖のある男たちを杉本哲太さんや中島歩さんなどが見事に演じ、どの時代も目が離せません。
知っているようで知らなかった細木数子という人物。あの頃テレビで見ていた「ズバッとものを言う姿」の裏側に、これほどの人生があったのかと驚かされます。まだ観ていない方、彼女を全く知らない方もぜひこの波乱万丈な物語に触れてみてほしいです!決して後悔させない、そんな作品です。全9話、各話約60分です。
※本ページは2026年5月時点の情報です。最新の配信状況はNetflix公式サイトにてご確認ください。
終わりに
『九条の大罪』と『地獄に堕ちるわよ』に共通して描かれる「裏社会」。自分とはかけ離れた世界ですが、やくざや半グレが絡むことで物語に一層深みが生まれ、面白く感じます。
九条間人と細木数子は、どちらも一見すると「間違っているのでは?」と思わせる言動を持ちながらも、その根底には揺るぎない信念があります。だからこそ「悪い人ではない」「憎めない」キャラクターとして映り、強く魅力を感じました。是非この癖の強いキャラクターたちをその目で確かめていただきたいです。
