6月の配信開始と同時にすぐに首位を独占し、大きな話題を呼んでいた韓国ドラマ『鉄槌教師』。
その評判に誘われるようにして観始めたところ、自分が学生だった頃とはまるで違う「SNS」や「モンスターペアレント」といった現代ならではの問題が次々と飛び出し、今の時代の複雑さを痛感させられました。基本的に1話完結型でさまざまな問題が詰め込まれているため、毎回深く考えさせられる内容となっています。
今回は『鉄槌教師』の感想をお伝えします。
予告編
登場人物:キャスト
ナ・ファジン:キム・ムヨル
チェ・ガンソク:イ・ソンミン
イム・ハンリム:チン・ギジュ
ポン・グンデ:P.O
あらすじ・感想
『鉄槌教師』は、ただ暴力で問題を解決するだけのドラマではありません。その奥にある社会問題をはっきりと見せて、「ではどうすべきか」を視聴者に考えさせる作品です。
1話完結が基本ですが、続いているエピソードもあるため最後まで目が離せません。毎回どのように「鉄槌」が下されるのか、見どころがたくさんあります。学校という場所では、一見すると生徒だけが被害者になりがちですが、この作品は教師もまた被害者になりうることを教えてくれます。
物語の舞台は主に学校。「教権保護局」という架空の組織の監督官たちがそこへ乗り込んでいきます。教権保護局は「殴らなきゃわからないやつには拳で」という方法が許された特別指導を行う機関です。いじめ、SNS問題、モンスターペアレント、未成年犯罪など、現代社会に欠かせない問題を正面から描き、それらで崩壊した学校に教権保護局が送り込まれ、生徒や教師を救っていきます。
殴られる側がみんな本当にクズだからこそ、スカッとする場面が多いのは確かです。しかし同時に、被害者の傷が決して癒えないという現実も突きつけられます。「こんな教師がいてくれたら…」と思う一方で、いっそ教師でなくてもいいから、職場にもこうした監督官のような人が来て、悪いやつを徹底的にやっつけてほしい(笑)とも思いました。
どの回も強烈ですが、特に印象に残ったエピソードをいくつか紹介します。
第1話では、教権保護局の監督官・ナ・ファジンが衝撃的な登場をします。その存在感に一気に引き込まれました。彼の放つ「大人が子どもを怖がったら世も末」というセリフは深く心に響きました。今の時代、何があるかわからないという不安から、その辺でちょっと悪さをしている中学生にすら注意できなくなっている自分を思い出させます。学校でも、生徒に注意できなくなっている教師は少なくないのではないでしょうか。このドラマは全体を通して、大人がしっかり子どもと向き合うことの大切さを強く訴えかけています。
第5話では、いわゆるモンスターペアレントが登場します。この回の見どころは、暴力ではなく別の方法で鉄槌を下す点です。見ているだけで疲れるほど強烈な母親ですが、その裏にある「子どものため」という歪んだ愛情も描かれており、考えさせられます。もしこんな親がいたら教師は本当に仕事にならないだろうし、教師という仕事の大変さを改めて痛感しました。
第6話では、未成年だからといって罪を繰り返す中学生たちの話です。全く反省せず、最後の最後まで自分たちのやったことの重大さに気づかない姿には呆れます。スカッとすると同時に、どうしようもない怒りも湧いてきました。
キャストも魅力的で、教権保護局のメンバーは特に個性的で、そのキャラクターを俳優たちが見事に演じています。ナ・ファジン役のキム・ムヨルさんは、映画『記憶の夜』で初めて知ったと思っていたら、調べてみると『未成年裁判』にも出演していましたが、当時はあまり認識していませんでした。本作のようなかっこいいアクションができるとは知りませんでした。そして何より驚いたのは、事務官・ポン君役のP.Oさんが歌手出身だということです。SNSで歌っている姿が別人のようで驚きました。韓国の俳優層の厚さに改めて驚かされます。
暴力による教育には批判もあるでしょう。しかし、現代社会のさまざまな問題をここまで凝縮し、エンターテインメントとして仕上げながら、視聴者に考えさせる余白を残した作品は、そう多くありません。続きが気になる1話完結形式もあって、最後まで飽きずに見られ、見終わった後も何かを考えずにはいられないドラマです。全10話、各話約60分です。
終わりに
このドラマは賛否両論が分かれると思います。私自身は、小中学校の頃、教師から叩かれるのが当たり前の時代を経験してきました。悪いことをしたのであれば叩かれることもあると思っていましたし、むしろ叩かれるほど悪くないはずなのに叩かれるという光景もありました(笑)。そうした経験もあって、『鉄槌教師』には賛成の立場です。
しかし、誰かが鉄槌を下したところで、被害にあった人の心の傷が癒えるわけではありません。ドラマの中でも、ナ・ファジンが加害者側に被害者の気持ちを理解させようとするシーンが幾度となく描かれていましたが、それは人間関係においてとても大切なことだと痛感しました。
