ドラマや映画は、出演者で選ぶ方が多いのではないでしょうか。私も、「この人が出るから観よう」ということもあります。ただ、最近では脚本や演出にも興味を持つようになりました。きっかけは2024年公開の映画『ラストマイル』で、脚本が野木亜紀子さん、演出が塚原あゆ子さん、プロデューサーが新井順子さんと知り、その監督・脚本が手掛けた作品には『アンナチュラル』と『MIU404』がありました。その当時は脚本や監督に意識を向けていませんでしたが、どちらも非常によくできた素晴らしいドラマだったと記憶に残っています。『ラストマイル』はその二作品とつながる“シェアード・ユニバース・ムービー”とのことで、より興味を持ち、過去作を振り返ってから映画を見に行きました。今回はその3つの作品に加え、もう一つの作品も含めて、計4つのおすすめ作品をご紹介します。
アンナチュラル
- キャスト:石原さとみ、井浦新、窪田正孝、市川実日子、松重豊、他
- 2018年1月期、TBSテレビ系金曜ドラマ
- 全10話、約60分
- 主題歌:米津玄師「Lemon」
表参道駅でドデカイ看板を発見‼
— アンナチュラル【TBSドラマ公式】 (@unnatural_tbs) January 10, 2018
テンションが上がります😆🎵#tbs #金曜ドラマ #アンナチュラル #石原さとみ #井浦新 #窪田正孝 #市川実日子 #松重豊 #野木亜紀子 pic.twitter.com/q9wySiYOv7
架空の研究所「不自然死究明研究所(通称UDIラボ)」を舞台に、法医解剖医の三澄ミコト(石原さとみさん)が不自然死の真相を解明していく物語です。ミコトは、解剖や捜査を通じて亡くなった人だけではなく、その背後にある家族や関係者たちの想いを深く汲み取り、悲しみや苦しみを理解しようとしているように感じました。私たちの身近にも潜む労働問題やいじめ問題などの実際に起こりうる社会問題が取り上げられ、社会の様々な痛みを考えさせられます。また、ミコトは自身の危険な状況でも諦めず、死と向き合いながら事件を解決していきます。その中で、「絶望してる暇あったら、うまいもん食べて寝るかな」というセリフは印象的で、自身も重い過去を抱えているからこそ、死に対して一層強く向き合っているように見えました。また、井浦新さん演じる中堂にも重い過去がありますが、1話完結の構成でありながら、回を追うごとに少しずつ変化していくところも見どころです。シリアスなシーンの合間にはクスっと笑える瞬間もあり、飽きずに楽しめる点も魅力的です。
このドラマは社会問題への深い洞察とキャラクターの人間味が光る作品でした。7年も前のドラマですが、私にとって最も印象的な石原さとみさんの役であり、特に主題歌の米津玄師さんの『Lemon』が流れるシーンは心に残っています。
MIU404
- キャスト:綾野剛、星野源、水上恒史(旧芸名:岡田健史)、橋本じゅん、麻生久美子、他
- 2020年7月期、TBS系金曜ドラマ
- 全11話、約60分
- 主題歌:米津玄師「感電」
◆配信開始
— Netflix Japan | ネットフリックス (@NetflixJP) December 30, 2022
シリーズ『MIU404』(日本)#星野源 #綾野剛 出演。
機動捜査隊「第4機捜」の隊員・志摩一未(星野源)と、問題児の伊吹藍(綾野剛)はひょんなことからバディを組むことに。
事件解決のタイムリミットは24時間。機動力と冷静さを武器に、正反対の二人が駆け抜ける!#MIU404 pic.twitter.com/2LFQo8hkOQ
このドラマも『アンナチュラル』同様、架空の組織設定で、「警視庁刑事部・第4機動捜査隊」を舞台に物語が展開されます。警視庁の働き方改革の一環で、刑事部・機動捜査隊(通称:機捜)の部隊に臨時部隊として「第4機捜」が新設されます。招集されたのが伊吹藍(綾野剛さん)と志摩一未(星野源さん)で、正反対の二人がバディとなり、様々な事件の犯人を追い解決していきます。回を追うごとに関係性が変わっていくところがおもしろかったです。1話完結ながらも連続性のあるストーリー展開で飽きさせません。『アンナチュラル』と同じく社会問題が組み込まれており、今回はパワハラ、裏社会、外国人労働問題などの題材が含まれる回もあり、身近で起こりうることであるリアルさを感じ、興味深く非常に考えさせられました。
また、キャストでは予告なしに主演級の俳優が登場するサプライズもあり、一層盛り上がる展開でした。アンナチュラルの世界ともつながっており、その世界のキャラクターが出てきた時はうれしくなります。主演の綾野さん演じる伊吹は、非常識でふざけていることが多いけど、なんだか憎めないキャラクターで、星野さんとのバディも絶妙で結構ハマり役だったと感じました。
したがって、このドラマはキャラクター設定やテーマの深さ、サプライズ演出などから非常におすすめです。気軽に見られる1話完結ながらも、続きが気になる内容で、深みもあるのでぜひ一度ご覧いただきたいです。
ラストマイル
- キャスト:満島ひかり、岡田将生、ディーン・フジオカ、他
- 2024年8月劇場公開、129分
- 「アンナチュラル」「MIU404」と繋がるシェアード・ユニバース・ムービー!!
- 主題歌:米津玄師「がらくた」
この映画は、ブラックフライデー前夜の荷物爆発事件を始まりに、謎の連続爆破事件を軸に展開される作品で、物流の裏側や社会的な問題を深く考えさせられる内容でした。物流倉庫のセンター長に着任したばかりの舟渡エレナ(満島ひかりさん)がチームマネージャーの梨本孔(岡田将生さん)と共に、事件解決に奮闘する姿は、緊迫感と人間ドラマを見事に描いています。また、普段何気なく行っているネット通販や、宅配の裏側に潜む問題点や、私たちの生活と密接に関わるテーマに触れている点も魅力です。
特に、最後のシーンは観客自身に考えさせるもので、自分なりの解釈をしたり、ネットで他人の意見を調べたりしながら理解を深める楽しさがありました。劇場での上映を観て、迫力ある爆発シーンに驚かされました。また、物流倉庫の映像を通じて、ドライバーや管理職など様々な働き手の視点を知ることができ、自分がこれまでに経験してきた働き方を振り返るきっかけにもなり、心に強く響きました。
この映画は、単なるサスペンスを超えて、私たちの生活や社会について考えさせられる作品でした。『アンナチュラル』、『MIU404』を知っていた私は必ず観ようと決めていた映画です。それらを観ていなくとも全く問題なく楽しめる作品だと思います。予告だけでハラハラドキドキで、公開されて割とすぐ劇場に足を運び観てきました。すでにDVDが発売されています。
現在動画配信サービスではU-NEXTのみとなっています。U-NEXTは初回であれば31日間の無料トライアルを実施しており、さらに600ポイントが付与されるため、そのポイントを使って視聴することができるのでおすすめです。『ラストマイル』は399円で購入でき、2日間視聴できます。(今後利用しない場合は解約を忘れずに。)
海に眠るダイヤモンド
- キャスト:神木隆之介、杉咲花、斎藤工、池田エライザ、清水尋也、土屋太鳳他
- 2024年10月期、TBS系ドラマ日曜劇場
- 全10話、約60分
- 主題歌:King Gnu「ねっこ」
上記3つの作品は同じ世界線でつながっていましたが、このドラマは単体になります。非常におすすめのドラマなので、今回いっしょにご紹介したいと思います。
この作品は長崎の端島(軍艦島)を舞台にし、1950年代から現代の東京までの人間ドラマと歴史を巧みに描いた素晴らしいドラマです。私は長崎出身なのでとても親近感が湧きました。
まず、端島の当時の暮らしがリアルに再現されている点や、長崎の原爆や当時の労働問題も丁寧に描かれていることが、作品の深みとリアリティを生んでいます。また、主人公の鉄平(神木隆之介さん)や朝子(杉咲花さん)たちの複雑な人間関係や恋愛模様には毎回引き込まれ、一つ一つの謎や過去の秘密が少しずつ明らかになる過程も楽しめます。現代の序盤に出る宮本信子さん演じる女性は一体だれなのか・・・端島にやってきたリナ(池田エライザさん)は何者なのか・・・SNSで予想や議論で盛り上がっていました。
キャストでは特に、神木隆之介さんが昭和の端島の外勤職員と現代のホストの役を見事に演じ分けている点は圧巻です。最後にはしっかり物語は完結していますが、鉄平の人生を想うと涙し、しばらく動けませんでした。
主題歌もおすすめで、King Gnuの「ねっこ」がドラマの最後に必ず流れ、これがドラマの内容にリンクしていて心に響くので、King Gnuを知らない方でも惹かれること間違いなしです!
この作品は歴史と人間ドラマの深さ、キャストの演技力が光り、多くの視聴者に強く訴える魅力があります。1話を見れば必ず続きが観たくなり、最後まで飽きずに観られるのでとにかくおすすめします!
U-NEXTで視聴可能
※本ページは2025年5月時点の情報です。最新の配信状況は各公式サイトにてご確認ください。
まとめ
以上、おすすめの4作品をご紹介しました。野木さん×塚原さん×新井さんの作品は、社会問題をテーマにしたものが多く、考えさせられることや共感するシーンも多いと感じます。『アンナチュラル』『MIU404』『ラストマイル』は同じ世界線ながら異なる物語を描き、『海に眠るダイヤモンド』は、長崎を舞台に過去と現代を映像と事実を交えて描き、すばらしい人間ドラマに仕上がっています。どのドラマも最後にちょうどいい場面でエンディングが流れる演出もまた心に響き、何度も聴き返したくなります。また、この同じ3人でタッグを組んだ作品を心待ちにしています。まだ見たことがない方には本当に強くおすすめしたいです。